『商店街再生の罠—売りたいモノから、顧客がしたいコトへ』 久繁哲之介著

課題の本質を見誤ったまま補助金等を制度化する自治体職員と、その補助金が麻薬のように商店街を蝕んでいるという批判、多くの地方において、いわゆる成功事例を表面的に模倣する愚行に対する批判、いずれも的を射た指摘である。

また、これからの商店街再生の鍵は人と人との交流機能であるとの指摘も非常に説得力があった。

著者が批判する「公務員」は、おそらく「自治体職員」、特に「市町村職員」を指しているものと理解され、小生も含めた市町村職員はその批判及び指摘を真摯に受け止めなければならない。また、これだけ大々的に批判されているということは、その地域の商店街再生のために当該自治体の職員が担うべき役割が小さくない、ということの裏返しと理解される。

再度、身近な顧客のニーズ把握に立ち返り、地元の方々が自然なかたちで交流できるような空間づくりをすることが、小さな町の商店街を再生させるために最も重要なことなのだろう。


『商店街再生の罠—売りたいモノから、顧客がしたいコトへ』,久繁哲之介著,ちくま新書,2013年

目次

  • はじめに
  • 第1章 レトロ商店街の罠
    • ケース1 観光地化に走り、地域密着を捨てた結果、地元客は大型店を選んだ 大分県豊後高田市レトロ商店街
    • ケース2 自動車優先で、人が歩けないレトロ商店街 大分県日田市豆田町商店街
    • ケース3 日曜は定休日で4割の店が閉まっているレトロ商店街 東京都江東区亀戸香取勝運商店街
  • 第2章 キャラクター商店街の罠
    • ケース4 本物の成功事例は、学びの宝庫 鳥取県境港市水木しげるロード
    • ケース5 テーマパーク商店街で一番になれないなら、地域一番店になる! 鳥取県北栄町コナン通り、東京都品川区戸越銀座商店街
  • 第3章 B級グルメ商店街の罠
    • ケース6 女性の感情に無関心なオヤジのデータ絶対主義の罠 富山県高岡市の商店街
    • ケース7 B-1グランプリの罠 愛媛県今治市の商店街、静岡県富士宮市の商店街
  • 第4章 商店街を利用しない公務員
    • ケース8 再生施策は「理論の美しさ」でなく「行動に繋げる」ことが重要 マイカー通勤ありきで「酒は飲まない、商店街に行かない」公務員
    • ケース9 役所仕事は、公開すると、市民感覚に変わる 実録「千葉県商店街あり方検討会」委員会
  • 第5章 意欲が低い商店主
    • ケース10 意欲が低い商店主も救済する護送船団方式支援はやめよう 実録「顧客インタビュー、商店主対象の講演会」
    • ケース11 金融商品と化した商店街に、自治体は課税とテナント管理を 太田市南口一番街、鹿児島市天文館
  • 第6章 再生戦略1「シェア」で、雇用・起業を創出
    • ケース12 女性4人の異業種な起業家が相互に貢献しあう協働経営 東京都深川資料館通り商店街
  • 第7章 再生戦略2「地域経済循環率」を高めて、第一次産業と共生
    • ケース13 地域再生の鍵は売上額でなく「地域経済循環率」 愛媛県宇和島市の地域体感カフェ五感
  • 第8章 再生戦略3 趣味を媒介に「地域コミュニティ」を育成
    • ケース14 自分のコトと顧客が感じるガーデニング 福岡県久留米ほとめき通り商店街
    • ケース15 本を媒介に、老若男女が交流できる場「サードプレイス」を創る 千葉銀座商店街、袖ケ浦団地商店街
  • 参考書籍
  • おわりに

参考

地域再生プランナー『久繁哲之介の地域力向上塾』