『法とは何か 新版』渡辺洋三著

法といってもいろいろある。家族の決まり、地域のルール、宗教上の制約、会社の規則、道徳。これらの法と法律との関係、欧米と日本における法の歴史的、文化的な差異、さまざまな法律上の問題点、こうした堅苦しい論点を堅苦しくなく全体を丁寧に俯瞰したのが本書である。著者の人権を中心とした指摘は、本書が刊行されて10年以上経過した現在においても重要である。

「法の精神とは、一言でいえば、正義である。」(p.8)。何が正義なのか、に対する一つの解はない。このことが法につきまとう永遠のジレンマなのだろう。

 


『法とは何か 新版』,渡辺洋三著,岩波新書,1998年

■目次
序章 国家の法と社会の法
1 法とは何か
 1-1 法の精神
 1-2 法と民主主義
 1-3 法とルール
 1-4 法と道徳
 1-5 法と手続
2 法の歴史的変動—欧米型と日本型
 2-1 欧米型
 2-2 日本型
3 現代日本の法システム
 3-1 近代法と現代法
 3-2 家族と法
 3-3 土地と法
 3-4 不法行為と法
 3-5 消費者の権利と企業
4 国家統治の法と国民の権利
 4-1 現代国家と行政権
 4-2 司法国家と行政国家
 4-3 日本の行政法の特質
 4-4 地方自治と地方分権
5 国家と人権
 5-1 労働者の人権
 5-2 社会保障・福祉の権利
 5-3 子どもの人権
6 法の解釈と裁判
 6-1 法の解釈とは
 6-2 裁判
7 国際法と国内法のはざまで
 7-1 国際的軍事秩序
 7-2 国際経済と人権
あとがき