「 新潮文庫 」一覧

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大岡昇平『野火』新潮文庫

フィリピンにおいて敗走を続ける日本兵。疲労と飢えの中、極限状態における人肉食への誘惑と葛藤が描かれる。人肉食という極めて衝撃的な出来事にも関わらず、全体を通じて一歩引いたような無感情な淡々とした空気が流れている。不思議な感覚。 読みが浅いと言われればそれまでながら、人肉食という部分だけがとかく注目されがちな本作、実はもっと違うことを伝えたかったのではないか、と感じるくらい、人肉食との葛藤の部...

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遠藤周作『沈黙』新潮文庫

弾圧や迫害に際しても神はただひたすら沈黙する。この神の沈黙が、信徒の信仰心を試す物差しであるならば、神というのは何と無慈悲なものなのか。主人公ロドリゴの葛藤に共感を覚える作品。 ロドリゴの師フェレイラ曰く、 「日本人は人間とは全く隔絶した神を考える能力をもっていない。日本人は人間を超えた存在を考える力を持っていない」 (略) 「日本人は人間を美化したり拡張したものを神とよぶ。...

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深沢七郎(1964)『楢山節考』新潮文庫

深沢七郎の代表作。いわゆる姥捨て山の話だが、自ら山に入ることを望む主人公おりんの視点で書かれている。生きたまま山に入るというのは相当な悲劇なのに、おりんの姿や言動には悲壮感がまったくなく、むしろ生き生きとしながら山に向かっていく。これが逆に生々しい。まさに名作。 新潮社>『楢山節考』2017-05-08(Mon) 20:33:40 アクセス

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網野善彦(2012)『歴史を考えるヒント』新潮文庫

本書は、「歴史の中の言葉」というテーマで開かれた連続講座の内容をまとめたものであり、「日本」や「百姓」、様々な商業用語、「自由」などを取り上げ、「歴史を考えるヒント」も「言葉」の中にある、というのが主題となっています。 「それが使われていたときの言葉の意味を正確にとらえながら中世の文書を読み解いていくと、予期しない世界が開けてくることがあるわけで、そこに「歴史」という学問の面白味があると...

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藤沢周平『たそがれ清兵衛』新潮文庫

「たそがれ清兵衛」「うらなり与右衛門」「ごますり甚内」「ど忘れ万六」「だんまり弥助」「かが泣き半平」「日和見与次郎」「祝い人助八」、以上八名の刺客の短編集。それぞれ「能ある鷹は爪を隠す」的凄腕剣士。

小川洋子著『博士の愛した数式』

小川洋子著『博士の愛した数式』

80分しか記憶を保持できない数学者、過去に影をもつ家政婦とその息子との関係を描いた小説。軽快な展開の一方で、なんとなく影を感ずるのが良かった。 博士の愛した数式 (新潮文庫)