◎焼跡にて 住吉尋常小学校六年 相馬 富久子
火事がすんで、家の焼跡に行った時、先づ目についたのは瓦、瀬戸物、私のお花のついたお茶碗であった。けれどもすこしかけて居た。私の勉強室のあとを見た。すっかりかげも形もなかった。唯ライオンのぶんちんだけがあった。お正月に着たちりめんの着物も今年が最後であったのかと思ふと、なさけなくなってしまった。もう二度とあの千鳥のついたふとんに寝る事も出来ないし、いつもの家に住むことも出来ないと思ふと、かなしくなった。ぼんやり見とれていた目には涙がうるんできます。帰り道、私の大好なお友達の家も、先生のお家もすっかりなにもなかった。ああちょっとの出来事から何から何まで灰にしてしまったり、又多くの人を死なせたのだ。天災とは申しながら、一人の不注意からあの大火になったのだ。私達はよく火の用心をして、りっぱな函館市を造るよう心がけねばならぬと深く決心した。


