山崎亮著『コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる』

山崎亮著『コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる』

地域に住む人たち、そのなかの、自分たちの住む地域をもっと良くしたい、と思っている人、こういう人々が地域をより良くするための活動の中心にならなければ地域づくりはうまくいかず、彼らが活動の中心にいる取組はきっとうまくいくはず。著者の言う「コミュニティデザイン」とは、こういう人々のつながりをデザインすることだと思いました。

本書のテーマは、「行政や専門家だけが社会的な課題を解決しようとしても限界があることを実感している人。自分たちが生活するまちに貢献したいと思っているけど何から始めればいいのか分からない人。こういう人たちに本書を読んでいただき、人がつながるしくみをつくることの魅力を感じ取ってもらいたい。」(P.20-21)という一文のとおりだと思います。

「まちづくり」とか「地域活性化」とか、最近だと「地方創生」と言ったりもしますが、実はそんなに大それたものではなくて、「スキーやテニスを楽しむのと同じであり、「まちのために活動してあげている」のではなく「まちを使って楽しませてもらっている」と思えるようなものであるのが理想的」(P.72)という著者の考え方には大いに共感します。

我々が注意すべきなのは、「どこか有名なまちづくりの事例を調べて、その特徴を整理し、同じような手法でまちづくりを提案するというのはコミュニティデザインの訓練にならない」(P.91)という指摘でして、コミュニティデザインの訓練如何によらず、他のまちづくり事例のコピー、といった安易なやり方に流されないよう意識しなければならないと感じます。

本書Part3の見出しにもなっていますが、「1人でできること、10人でできること、100人でできること、1000人でできること」という考え方が、とてもわかりやすいように思いました。

『コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる』山崎亮著,学芸出版社,2011年

■目次

  • Part1 「つくらない」デザインとの出会い
    • 1 公園を「つくらない」
    • 有馬富士公園(兵庫1999-2007)
    • 2 ひとりでデザインしない
    • あそびの王国(兵庫2001-2004)
    • 3 つくるしくみをつくる
    • ユニセフパークプロジェクト(兵庫2001-2007)
  • Part2 つくるのをやめると、人が見えてきた
    • 1 まちににじみ出る都市生活
    • 堺市環濠地区でのフィールドワーク(大阪2001-2004)
    • 2 まちは使われている
    • ランドスケープエクスプローラー(大阪2003-2006)
    • 3 プログラムから風景をデザインする
    • 千里リハビリテーション病院(大阪2006-2007)
  • Part3 コミュニティデザイン-人と人をつなげる仕事
    • 1 ひとりから始まるまちづくり
    • いえしまプロジェクト(兵庫2002-)
    • 2 1人でできること、10人でできること、100人でできること、1000人でできること
    • 海士町総合振興計画(島根2007-)
    • 3 こどもが大人の本気を引き出す
    • 笠岡諸島子ども総合振興計画(岡山2009-)
  • Part4 まだまだ状況は好転させられる
    • 1 ダム建設とコミュニティデザイン
    • 余野川ダムプロジェクト(大阪2007-2009)
    • 2 高層マンション建設とコミュニティデザイン
    • マンション建設プロジェクト(2010)
  • Part5 モノやお金に価値を見出せない時代に何を求めるのか
    • 1 使う人自身がつくる公園
    • 泉佐野丘陵緑地(大阪2007-)
    • 2 まちにとってなくてはならないデパート
    • マルヤガーデンズ(鹿児島2010-)
    • 3 新しい祭
    • 水都大阪2009と土祭(大阪・栃木2009)
  • Part6 ソーシャルデザイン-コミュニティの力が課題を解決する
    • 1 森林問題に取り組むデザイン
    • 穂積製材所プロジェクト(三重2007-)
    • 2 社会の課題に取り組むデザイン
    • +designプロジェクト(2008-)