鈴木隆雄著『超高齢社会の基礎知識』

『超高齢社会の基礎知識』

2030年頃に世界に先駆けて超々高齢社会に突入する日本。現在の医療や介護の仕組みでは到底対応できない状況になるのが目に見えている。人は間違いなく115歳頃には死ぬ。死に際して、ほとんどの人が誰かの介護を受ける状況になる。こうした現実を受け止めて、自ら介護状態に至るのを先送りするような予防に取り組むこと、そして、自分の死に方を考えておくことが極めて重要となる。

著者の主張をこのように受け止めたのですが、具体的なデータに基づく主張であり、強い説得力をもつように感じた次第です。

今の世の中、死が遠ざけられているように感じるのですが、

「われわれはどんなに生き延びても百十五歳ころが限界なのであり、今後も続く長寿化と死亡ピーク年齢の微増があったとしてもこのヒトとしての限界寿命というものは不変である。」(p.38)

ということを意識することがまずもって重要なことで、死の前段には、要介護状態になるという事実を受け容れる必要があるはずです。

「わが国が超高齢社会となり誰もが長寿となったときの人生の晩年において(その期間や選択のありかたは議論のあることは当然であろうが)、ある程度の要介護状態となることはいわば当然であり、自然の摂理であり、社会の必然として受け容れなければならないことである。」(P.143)

は、そのとおりだと感じました。

「「終末期には何もおこなわずに、枯れるように死ぬ」というコンセンサスの確立とそれを決断する選択肢が、市民権を得る社会となるべきだと考えている。」(p.149)

この一節、強く共感を覚えたところです。

『超高齢社会の基礎知識』,鈴木隆雄著,講談社現代新書,2012年

■目次

  • はじめに
  • 第1章 2030年超高齢社会のニッポン
    • 1 「高齢社会」の高齢化
    • 2 増えつづける老人たち
    • 3 いま、団塊の世代は元気だけれど……
  • 第2章 寿命と健康の変化
    • 1 なかなか死ななくなった日本人
    • 2 データは雄弁に語る
    • 3 たしかに若返っている一方で
  • 第3章 病気予防と介護予防
    • 1 メタボ健診に意味はあるか
    • 2 これが老年症候群だ
    • 3 介護保険制度が発足して何が変わったか
  • 第4章 老化について科学的に議論するために
    • 1 科学的試験によって実証する
    • 2 尿失禁と認知症の予防
    • 3 筋肉の衰えを予防する
  • 第5章 予防の先にあるもの
    • 1 人生晩年の「分岐点」
    • 2 ピンピンコロリの幻想
    • 3 どこで死ぬか
  • 第6章 超高齢社会に挑む
    • 1 後期高齢者医療制度をめぐって
    • 2 地域包括ケアシステム
    • 3 「生きがい」と「歩み」
  • むすびに
  • あとがき
  • 主な参考文献