遠藤周作『沈黙』新潮文庫

弾圧や迫害に際しても神はただひたすら沈黙する。この神の沈黙が、信徒の信仰心を試す物差しであるならば、神というのは何と無慈悲なものなのか。主人公ロドリゴの葛藤に共感を覚える作品。

ロドリゴの師フェレイラ曰く、

「日本人は人間とは全く隔絶した神を考える能力をもっていない。日本人は人間を超えた存在を考える力を持っていない」
(略)
「日本人は人間を美化したり拡張したものを神とよぶ。人間と同じ存在をもつものを神とよぶ。だがそれは教会の神ではない」
(略)
「私にはだから、布教の意味はなくなっていった。たずさえてきた苗はこの日本とよぶ沼地でいつの間にか音も腐っていった。私はながい間、それに気づきもせず知りもしなかった」

古代律令制度も中国から輸入したものを自分たちに合うように変質させた日本。仏教だって同じ。いはんやキリスト教をや。フェレイラに「沼地」と代弁させた性質こそ、まさに日本文化の本質なのではないかと強く感じた次第です。

本の概要は、新潮社のページが参考となります。

新潮社>神様って、いないんじゃない? という疑問を、ここまで考えぬいた人達がいる。(2017-07-08(Sat) 23:05:16アクセス)

マーティン・スコセッシ監督の映画「沈黙―サイレンス―」、ブルーレイで出るみたいです。