江夏幾多郎(2014)『人事評価の「曖昧」と「納得」』NHK出版新書

人が人を評価する以上、避けられぬ「曖昧さ」。こと理想論ばかりとなりがちな人事評価制度について、あえて「曖昧さ」と「曖昧さ」に被評価者がどう対応するかを主題とした一冊。

曖昧さの排除を突き詰めていけば、制度の精緻化・複雑化を招き、いずれ破綻する。だからこそ一定の「曖昧さ」の受容が制度の安定に欠かせない。

問題はあっても制度は必要であることを被評価者が理解する、また、評価した評価者の置かれている状況も理解する。こうした被評価者の寛容さが制度の「曖昧さ」を受け入れている。

欧米の制度の実態は知らないが、この「曖昧さ」を受け入れている状況こそ、年功序列の進化形のような新たな日本型経営の特徴になりつつあるようにも感じられた。

目次

  • はじめに
  • 第1章 人事評価の成り立ち
    • 1 人事評価が目指すもの
    • 2 人事評価制度の作り込み
    • 3 日本企業における二大評価法
    • 4 人事評価における公正と納得
  • 第2章 曖昧化する人事評価
    • 1 人事評価への不満と不安
    • 2 「職務遂行能力」をめぐる苦闘—能力評価の曖昧化
    • 3 「過程の公正」は実現するか?—業績評価の曖昧化
    • 4 再説:人事評価への不満と不安
  • 第3章 曖昧さの中での納得
    • 1 「シロ」とも「クロ」とも言える曖昧さの前で
    • 2 「曖昧な中での納得」とは
    • 3 どうやって従業員は曖昧さを受け入れるか—上司と部下の関係性
    • 4 従業員にとって人事評価とは何か
  • 第4章 職場や従業員に寄り添う人事評価
    • 1 人事部門と現場の関係を編み直す
    • 2 優劣比較を伴わない評価
    • 3 パフォーマンス・マネジメントとしての人事評価
    • 4 不満の芽を飼い馴らす
  • おわりに
  • 参考文献

参考