Book一覧

西岡壱誠(2018)『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく東大読書』東洋経済新報社

タイトル、帯、著者情報から、本の内容を推測して付箋にメモしておく。目次から仮説を立てる。読みながら仮説と随時補正する。質問、追求しながら読む。要約する。

本を読む人なら(深さは別として)おそらく自然とやっているであろうことを、順序立てて明らかにしてくれます。
面倒でも、付箋などにメモしながら読む、という点が大事かと。線を引くことはあっても、メモを取るのってなかなか手間で…。

著者おすすめ本

本書内(ページの下の方)で紹介されていた本。いつか読みたい。


板坂元(1973)『考える技術・書く技術』講談社現代新書

読書法や発想法、論理の組み立て方などを示す名著。著者の個人的な好みやテクニックが披露されていることや、例文、例え話の類いが面白いということが、名著とされる所以であると思料。

黄色のダーマト、持ち出しフォルダ、インク鉛筆といった文具の話題が大変参考になった。

本題とは関係ないが、以下の一節に反応したのご紹介したい。

近代社会は、人間をブロイラー・チキンのように働かせる仕組みになりかけている。こういう体制の中では、お尻の毛までむしりとられないようにするために、自分の生活を守ることは大切なことだ。けれども、途中で仕事をおっぽりだして帰るような連中は、不思議と自分の生活そのものも、ブロイラーのにわとりのようになっていることが多い。何でもよい、どこでもよい、好奇心を燃やし情熱と忍耐力で、そして銭金ぬきで対象に立ちむかうことが、新しいものを生みだすものであることを忘れるべきではない。そうすることこそがブロイラー・チキンにならない道なのだ。(p.206)

この考え方、共感する部分もあるけど、これを他人に強要した結果が、本書出版から30年後の今日の異常な働き方、働かせ方であるように思える。むしろ「好奇心を燃やし情熱と忍耐力で、そして銭金ぬきで」向き合う対象があるならば、「途中で仕事をおっぽりだして」でも帰るべきである。

本書に登場する面白そうな本のリスト

  • オズボーン・上野一郎訳『独創力を伸ばせ』ダイヤモンド社
  • 長尾みのる『ヒトの目をひく法—視覚のポイント集』文化出版局
  • 篠田統・長崎多美子『家政学序説』化学同人
  • 篠田統『すしの本』柴田書店
  • 篠田統『米の文化史』社会思想社
  • 中尾佐助『料理の起源』NHKブックス
  • 中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』岩波新書
  • 河野友美『味のからくり』光生館
  • 河野友美『台所の理学』光生館
  • 本多勝一『殺される側の論理』朝日新聞社
  • 深沢七郎『盲滅法』創樹社
  • 板坂元『日本人の論理構造』講談社現代新書
  • 森秀人・上田敏晶『読書啓発』実務教育出版
  • 見田宗介「ベストセラーの戦後日本史」『現代日本の精神構造』p.72-85弘文堂
  • 桑原武夫『「宮本武蔵」と日本人』講談社現代新書
  • エドワード・デボノ『水平思考の世界』
  • 芥川龍之介『侏儒の言葉』
  • 丸山真男『日本の思想』岩波新書
  • 森政弘・片山竜二『続・やわらかい頭』時事通信社
  • 川端康成『千羽鶴』
  • 川喜田二郎・牧島信一『問題解決学—KJ法ワークブック』講談社
  • E・ホイラー・根本吉郎訳『行動的考え方の力』ダイヤモンド社
  • 中山正和『創造思考の技術』講談社現代新書
  • 川喜田二郎『雲と水と—移動大学奮戦記』講談社
  • スタンダール『赤と黒』
  • 坂口謹一郎『世界の酒』岩波新書
  • 坂口謹一郎『日本の酒』岩波新書
  • 清水幾太郎『論文の書き方』岩波新書
  • 川喜田二郎『発想法』中公新書
  • 川喜田二郎『続・発想法』中公新書
  • 梅棹忠夫『知的生産の技術』岩波新書
  • 思想の科学研究会編『夢とおもかげ—大衆娯楽の研究』中央公論社
  • セオドール・ソレンセン『ケネディ』(邦訳『ケネディの道』)弘文堂
  • 関計夫『適応と意味論』
  • 板坂元『ああアメリカ』講談社現代新書
  • レヴィ・ストロース『悲しき南回帰線』講談社文庫
  • 日本能率協会編『経営のためのKJ法入門』日本能率協会
  • 加藤昭吉『計画の科学』講談社
  • 中根千枝『タテ社会の人間関係』講談社現代新書
  • 加藤秀俊『自己表現』中公新書
  • 山口瞳『江分利満氏の華麗な生活』新潮文庫
  • フレーザー『金枝篇』
  • マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール十八日』
  • 森鷗外訳『即興詩人』
  • 夏目漱石『草枕』
  • トルストイ『復活』
  • ヘミングウェー『武器よさらば』
  • 司馬遼太郎対談集『日本人を考える』文藝春秋
  • 清水孝之『蕪村の芸術』至文堂
  • 大江健三郎『みずから我が涙をぬぐいたまう日』講談社
  • 五木寛之『ゴキブリの歌』毎日新聞社
  • 三宅正太郎『作家の裏窓』北辰堂
  • ハンリー・ノリンズ『ザ・コンプリート・コピーライター』
  • 亀井一綱『経営とコミュニケーション』日本経済新聞社
  • マルクス『資本論』
  • シュリーマン『古代への情熱』岩波文庫
  • 今西錦司『山と探検』文藝春秋
  • クリスチナ・ミルナー『ブラック・プレイヤーズ』

目次

  1. 頭のウォームアップ
    1. 脳のはたらき
    2. 頭を刺戟する
    3. 法則性の発見
    4. 関連づけ
  2. 視点
    1. 自分の型を知る
    2. 視点をかえる
  3. 読書
    1. 反読書的読書法
    2. 頭をほぐす読書
    3. 精読の工夫
    4. 英語を読む
  4. 整理
    1. カード・システム
    2. p文房具
    3. 資料の保存
  5. 発想
    1. 醗酵させる知恵
    2. バンカラのすすめ
  6. 説得
    1. 情動にうったえる
    2. 読み手を味方にする
    3. 信頼を生む技術
    4. 文章のリズム
  7. 仕上げ
    1. 型の組立て
    2. 構成の技術
    3. 短文主義
    4. 簡潔さ・わかりやすさ
  8. まとめ
    1. 誠実であること
    2. 情熱と忍耐
  9. あとがき

小川剛生(2017)『兼好法師—徒然草に記されなかった真実』中公新書

小川剛生(2017)『兼好法師—徒然草に記されなかった真実』中公新書

吉田流卜部氏に生まれ六位蔵人から従五位下左兵衛佐に任じた、という現在定説となっている「吉田兼好」像は、偽系図・偽書に基づくファンタジーであり、史料から読み取れる兼好法師像はもっと俗っぽくて生き生きした人物である、という極めて衝撃的な内容の一冊でありながら、当時の制度や慣習を踏まえた史料解釈に基づく冷静な論の展開に、深く引き込まれます。何事も批判的な視点をもつというのは大事ですね。難しいことですが。

目次

  • はしがき
  • 第1章 兼好法師とは誰か
  • 第2章 無位無官の「四郎太郎」—鎌倉の兼好
  • 第3章 出家、土地売買、歌壇デビュー—都の兼好(1)
  • 第4章 内裏を覗く遁世者—都の兼好(2)
  • 第5章 貴顕と交わる右筆—南北朝内乱時の兼好
  • 第6章 破天荒な歌集、晩年の妄執—歌壇の兼好
  • 第7章 徒然草と「吉田兼好」
  • 参考文献
  • 年譜
  • 索引

参考


池上彰、竹内政明(2017)『書く力—私たちはこうして文章を磨いた』朝日新書

池上彰、竹内政明(2017)『書く力—私たちはこうして文章を磨いた』朝日新書

池上彰、竹内政明両氏の対談本である。「はじめに」にもあるように、この対談が朝日新書から出版されているのが興味深い。

「読売新聞記者と元NHK記者が、朝日新聞の関連会社から書籍を出すという異色の展開」(p.4)

名文家と言われる両氏が、どのようなことを考えながら文章を書いているのかについて、かなり詳しく手の内が明かされている。

帯に「ここまで明かしていいんですか?」とある。残念ながら、ここまで詳らかにされてもまったく真似できる気がしない。

目次

  • はじめに
  • 第1章 構成の秘密—「ブリッジ」の作り方
  • 第2章 本当に伝わる「表現」とは
  • 第3章 名文でリズムを学ぶ
  • 第4章 悪文退治
  • 対談を終えて

法制執務研究会編(2017)『新訂ワークブック法制執務第2版』ぎょうせい

昨年の暮れに出たワークブック第2版。関連業界に身を置く者としては、何はともあれ買っておかないことには話にならない、ということで購入。
引用法令も刷新されているらしいです。

ぎょうせいオンライン / 新訂 ワークブック法制執務 第2版


戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎(1991)『失敗の本質—日本軍の組織論的研究』中公文庫

われわれにとっての日本軍の失敗の本質とは、組織としての日本軍が、環境の変化に合わせて自らのせんりゃくや組織を主体的に変革することができなかったということにほかならない。戦略的合理性以上に、組織内の融和と調和を重視し、その維持に多大のエネルギーと時間を投入せざるを得なかった。このため、組織としての自己革新能力を持つことができなかったのである。(文庫版あとがき p.409-410)

成功体験(日本軍の場合は、日露戦争の結果。)に固執して、変化することができなくなってダメになった。強烈な成功体験を与えてその手法を固定化させる、という組織崩壊手順があったりして。

 日本軍は結果よりもプロセスを評価した。個々の戦闘においても、戦闘結果よりはリーダーの意図とか、やる気が評価された。(p.335)

結果よりもプロセスを評価した。個々の業務においても、業績よりはいかに夜遅くまで又は休日返上で取り組んだかが評価された。というのは冗談。


コリン・パウエル/トニー・コルツ(2017)『リーダーを目指す人の心得 文庫版』飛鳥新社

人一倍アメリカを愛し、陸軍を愛したこと。そして、謙虚さ。それがコリン・パウエル成功の最も重要なポイントだったはず。この謙虚さについては、日本人にもウける。でも、謙虚さばかり取り上げられて、著者の語る組織論がないがしろにされてしまっては本末転倒だろう。軽々にアメリカ陸軍の組織論を日本社会に持ち込むことはできないにせよ、学ぶべきことは非常に多いと感じさせられる。後進を育てること、後進にバトンをつなぐこと。

目次

  • はじめに
  • 第1章 コリン・パウエルのルール
  • 第2章 己を知り、自分らしく生きる
  • 第3章 人を動かす
  • 第4章 情報戦を制する
  • 第5章 150%の力を組織から引きだす
  • 第6章 人生をふり返って—伝えたい教訓
  • おわりに 「すべては人である」
  • 訳者あとがき

養老孟司(1998)『唯脳論』ちくま学芸文庫

我々の心、考え、社会、文化、ありとあらゆる全ては脳の機能や構造に縛られている。
ありとあらゆることが脳の中でのできごと、と考えると、我々は何と狭い世界に閉じ込められたものかと不安な思いがします。

目次

  • はじめに
  • 唯脳論とはなにか
  • 心身論と唯脳論
  • 「もの」としての脳
  • 計算機という脳の進化
  • 位置を知る
  • 脳は脳のことしか知らない
  • デカルト・意識・睡眠
  • 意識の役割
  • 言語の発生
  • 言語の周辺
  • 時間
  • 運動と目的論
  • 脳と身体 エピローグ
  • 引用文献
  • おわりに
  • 文庫版あとがき
  • 解説(澤口俊之)

江夏幾多郎(2014)『人事評価の「曖昧」と「納得」』NHK出版新書

人が人を評価する以上、避けられぬ「曖昧さ」。こと理想論ばかりとなりがちな人事評価制度について、あえて「曖昧さ」と「曖昧さ」に被評価者がどう対応するかを主題とした一冊。

曖昧さの排除を突き詰めていけば、制度の精緻化・複雑化を招き、いずれ破綻する。だからこそ一定の「曖昧さ」の受容が制度の安定に欠かせない。

問題はあっても制度は必要であることを被評価者が理解する、また、評価した評価者の置かれている状況も理解する。こうした被評価者の寛容さが制度の「曖昧さ」を受け入れている。

欧米の制度の実態は知らないが、この「曖昧さ」を受け入れている状況こそ、年功序列の進化形のような新たな日本型経営の特徴になりつつあるようにも感じられた。

目次

  • はじめに
  • 第1章 人事評価の成り立ち
    • 1 人事評価が目指すもの
    • 2 人事評価制度の作り込み
    • 3 日本企業における二大評価法
    • 4 人事評価における公正と納得
  • 第2章 曖昧化する人事評価
    • 1 人事評価への不満と不安
    • 2 「職務遂行能力」をめぐる苦闘—能力評価の曖昧化
    • 3 「過程の公正」は実現するか?—業績評価の曖昧化
    • 4 再説:人事評価への不満と不安
  • 第3章 曖昧さの中での納得
    • 1 「シロ」とも「クロ」とも言える曖昧さの前で
    • 2 「曖昧な中での納得」とは
    • 3 どうやって従業員は曖昧さを受け入れるか—上司と部下の関係性
    • 4 従業員にとって人事評価とは何か
  • 第4章 職場や従業員に寄り添う人事評価
    • 1 人事部門と現場の関係を編み直す
    • 2 優劣比較を伴わない評価
    • 3 パフォーマンス・マネジメントとしての人事評価
    • 4 不満の芽を飼い馴らす
  • おわりに
  • 参考文献

参考


池波正太郎(1984)『男の作法』新潮文庫

この本の魅力は、目次をご覧いただければわかるはず。

食べ物にまつわる話が印象的。日々少しずつ我慢して、月に一度は本物の美味い物を食うべし。食べるという経験に投資せよ、ということと理解。

最近ネット上で飲み屋でポテトフライを頼むのがけしからん、というのを見かけたような気がするが、池波正太郎氏曰く、

冷たいビールには、熱い唐揚げのじゃがいもがいい
何にだってビールは合うんだけど、やっぱりじゃがいもなんかが合うんだね。夏はポテトフライなんかいいんですよ。(p.178)

見栄を張らずに素直に真っ直ぐ生きるのが、池波流男の作法であると感じた次第です。

目次

  • はじめに
  • 文庫版の再刊について
  • 鮨屋へ行ったときはシャリだなんて言わないで普通に「ゴハン」と言えばいいんですよ。
  • そばを食べるときに、食べにくかったら、まず真ん中から取っていけばいい。そうすればうまくどんどん取れるんだよ。
  • てんぷら屋に行くときは腹をすかして行って、親の敵にでも会ったように揚げるそばからかぶりつくようにして食べなきゃ。
  • たまにはうんといい肉でぜいたくなことをやってみないと、本当のすきやきのおいしさとか、肉のうま味というのが味わえない。
  • おこうこぐらいで酒飲んでね、焼き上がりをゆっくりと待つのがうまいわけですよ、うなぎが。
  • コップに三分の一くらい注いで、飲んじゃ入れ、飲んじゃ入れして飲むのが、ビールの本当にうまい飲み方なんですよ。

参考

※表紙の絵も著者によるものらしいが、Stevie Ray Vaughanの帽子のようでこれまた格好いいのです。