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『コピーキャット 模倣者こそがイノベーションを起こす』

人類がここまで発展してきた理由のひとつが「模倣」能力であることは、おそらく周知のことだろう。 一方、経営やビジネスの世界では未だ「模倣」を忌避する傾向があり、真正面から取り扱われることは少ないようである。

本書は、こうしたビジネス上の「模倣」が、実際のところ「イノベーション」と同等又はそれ以上に重要なことであることを示し、軽視されることの多い「模倣」について、どのように「模倣」すべきなのかを真剣に論じている。

「パクリ」との非難を恐れるあまり「模倣」を直視できなくなっているように思われるが、現実には多くの成功の素が「模倣」であることも事実なようで、そろそろ「模倣」に対する見方を変えるべきときなのではないか、と本書は主張している。


『コピーキャット 模倣者こそがイノベーションを起こす』オーデッド・シェンカー著、井上達彦監訳、遠藤真美訳、2013年、東洋経済新報社

目次
第1章 繁栄するコピーキャットたち
第2章 模倣の科学と技法
第3章 模倣の時代
第4章 偉大なる模倣者たち
第5章 模倣の能力とプロセス
第6章 模倣という戦略
第7章 イモべーション 成功の条件
特別寄稿 日本企業のイモべーション(井上達彦/オーデッド・シェンカー)


『新版 日本中世に何が起きたか—都市と宗教と「資本主義」—』網野善彦著

人間と自然との境界、境界に生きる人々、現在にもつながる経済の仕組みを形づくるうえで重要な役割を担っていたのがこうした境界の人々だった。差別や悪、宗教と経済、私の世代には漠然と常識化されてきた知識を完全に覆した日本中世史学の巨人、網野善彦氏の考えがコンパクトにまとめられた一冊である。


『新版 日本中世に何が起きたか—都市と宗教と「資本主義」—』網野善彦著 洋泉社(歴史新書y) 2012年

目次
序にかえて
 絵師の心 一遍と「乞食非人」
1 境界
 境界に生きる人びと 聖別から賤視へ
 中世の商業と金融 「資本主義」の源流
 ■補論 市の思想 [対談者・廣末保氏]
2 聖と賤
 中世における聖と賤の関係について
 中世における悪の意味について
3 音と声
 中世の音の世界 鐘・太鼓・音声
4 宗教者
 一遍聖絵 過渡期の様相
あとがきにかえて
 宗教と経済活動の関係


『バナナと日本人—フィリピン農園と食卓のあいだ—』鶴見良行著 岩波新書 1982年

まっとうな消費者たるもの生産者のことを慮るべきではないか、というのが本書の主題だろう。

本書では、このテーマについて、わたしたちがいつでも購入できるバナナに注目し、生産されるフィリピンミンダナオ島の農民や労働者の状況、多国籍企業の動向などを詳細にレポートしながら、わたしたちがまったく意識を向けたことのない生産者の姿を明らかにしている。

初版は1982年である。30年以上経過した現在の状況は果たしてどうなっているのだろうか。


『バナナと日本人—フィリピン農園と食卓のあいだ—』鶴見良行著 岩波新書 1982年

目次
1 バナナはどこから?—知られざる日・米・比の構図
2 植民地ミンダナオで—土地を奪った者、奪われた者
3 ダバオ麻農園の姿—経営・労働・技術
4 バナナ農園の出発—多国籍企業進出の陰に
5 多国籍企業の戦略は?—フィリピン資本との結びつき方
6 契約農家の「見えざる鎖」—ふくらみ続ける借金
7 農園で働く人びと—フェンスの内側を見る
8 日本へ、そして食卓へ—流通ルートに何が起ったか
9 つくる人びとを思いながら—平等なつながりのために
あとがき


『もういちど読む山川日本史』

高校教科書をベースとして一般読者向けに書き直されたもので、冒頭の編者メッセージにあるように「1冊で日本史の全体像を把握できる書物」となっている。ただし、教科書をベースにしたものであることから、文章は非常にドライ。興味を引かれるのは、高校時代に学習したことと、最近の研究動向を踏まえた今の記載内容とが異なっている部分。古墳の名称や、人物像等々、実はそうだったのか、と新たに知ることが少なくなかった。

教科書的な文章で、途中読むのが辛いと思うかも知れないが、通読したあとの達成感と、日本史全体を1冊で俯瞰できたという大きな満足感が得られる1冊である。

『もういちど読む山川日本史』
編者:五味文彦、鳥海靖
出版:山川出版社
出版年:2009年


『あなたの知らない北海道の歴史』山本博文監修 洋泉社 2012年

本書では北海道の歴史を、古代、鎌倉・室町、戦国、江戸、近代の6つの時代に区分したうえで、各時代の主要なトピックをQ&A形式で紹介する内容となっている。目次をもとに、気になるトピックだけを拾い読みするも良し、順に読んでいくのも良し、いずれにしても、非常に読みやすく仕上げられており、北海道の歴史の概要を、コンパクトに、かつ、短時間で俯瞰するには便利な一冊である。

これは「北海道の歴史」をテーマにしたコンパクトな書籍という点ではやむを得ないのだろうが、本書で主に取り上げられている地域が道南(渡島、檜山地方)に偏っている。北海道の歴史の概要を掴むには、やや道央、道東における歴史の記載が薄い印象を受けた。

ただし、道南に関心の強い私には大変満足な内容である…。

 

『あなたの知らない北海道の歴史』
監修:山本博文
執筆者:春日和夫、岸祐二、中丸満、吉田渉吾、渡邊大門
出版:洋泉社
出版年:2012年

 

 


『道の駅「萩しーまーと」が繁盛しているわけ—地産地消の仕事人 道の駅・活性化ビジネスを教えます』

公設市場型道の駅「萩しーまーと」。全国の道の駅でもトップクラスの人気駅。駅長を務める著者、中澤さかなさんがその成功のヒントを惜しげもなく詳しく紹介してくれる。大変ありがたい一冊。

平成22年、平成23年と、小樽市に同行させていただき、萩での取組について講演を聴くことができたが、本書により、そのときの講演内容を復習できるほか、講演では触れられなかった細かい点についても理解することができる。

いずれにしても、萩市、萩しーまーとには一度行ってみなければならない。

著者:中澤さかな
出版年:2012年
出版社:合同出版

 


『地域の力—食・農・まちづくり』(大江正章著、2008年、岩波新書)

第1次産業を中心にしながらも、柔軟な発想により魅力を発信している地域がある。本書ではそうした国内先進地の取組を詳細にレポートしつつ、それぞれの事例の共通項を見出し普遍化する道を探る。

第1章では、島根県雲南市にて地域に根ざした食品加工、販売を行う木次乳業の取組、第2章では兵庫県相生市等における商店街が地域を支える事例、第3章では地域活性化事例としては国内で最も有名であろう徳島県上勝町の事例を、福祉の観点から見つめ直している。第4章では地産地消先進都市である愛媛県今治市の取組と学校給食の重要性を、第5章では畜産業再生の事例として北海道標津町等での取組、第6章では高知県梼原町等を中心に進む林業再生の事例を紹介している。

第1次産業ではないが、第7章では富山県富山市及び高岡市の路面電車の取組を中心に公共交通の重要性を確認している。

第8章では、都心で進む体験農園の取組から、新たなコミュニティとしての重要性、農のあらたな機能や役割を確認している。

本書は初版が2008年となっており、出版から今日現在で約5年が経過している。5年経った今日現在、本書で紹介された各地の取組がどのように進化しているのか、非常に気になるところ。時間のあるときにそれぞれ追跡調査してみたいものだ。

『地域の力—食・農・まちづくり』
著者:大江正章
出版年:2008年
出版社:岩波新書(新赤版)1115


『追憶の鉄路―北海道廃止ローカル線写真集』(工藤裕之著、北海道新聞社、2011年)

昭和60年から平成元年にかけて、学生時代の著者が撮り溜めた北海道廃止ローカル線の写真を一冊にまとめたもの。

私が小学生だった頃の北海道の匂いが活き活きと伝わり、当時のことをいろいろと思い出させてくれる。

少しだけ昔の、北海道各地の懐かしい風景を、鉄道を中心に切り取った素晴らしい写真集。自分の子供の頃のアルバムのように、ときどき、繰り返し、読み返したい一冊である。

 

 


網野善彦著『日本中世の民衆像 —平民と職人—』(岩波新書、1980年)

網野善彦著『日本中世の民衆像』(岩波新書、1980年)。

今のイメージでは捉えきれない社会が日本中世にはあった。特に東国と西国との交流が異なる民族間の交流と同じような一面を持っていたという指摘、現在の状況の下では想像するのが困難であるものの、非常に興味深い。

本書の初版は1980年。本書の問題提起はとてもスケールの大きなものと思われるのだが、出版から30数年経った今現在、日本中世史の最新の研究成果はどのようになっているのだろうか。

ちなみに帯文は先日亡くなった俳優小沢昭一さんが書かれている。

「私の芸能稼業の、あるべき姿を教えて下さったご本と感謝しつつ、折にふれては読みかえしてもおります。」

芸能史の研究にも熱心だったと言われる小沢昭一さんのコアな部分につながる書だったということなのだろうか。

 

 


『モレスキン「伝説のノート」活用術』

『モレスキン「伝説のノート」活用術』、堀正岳・中牟田洋子著、ダイヤモンド社、2010年。

 

私がモレスキンを使うのは、表紙が堅いので立ちながらでも記入できること、罫線がないこと(プレーンタイプ)、ページ数が多いこと、ゴムバンドが付いてること、これらの理由による。だから、多少値が張ってもモレスキンを選択しているが、逆に言えばこれらを満たすノートが安価に出回れば、モレスキンにこだわる理由はない。

スケジュール帳をもモレスキンに統合することは、私の好みとして不可能なので、モレスキンはあくまでも日々のメモや仕事の記録。ただ、「世の中にはこういう使い方をしている人もいるんだなぁ」という、他人のノート術を垣間見られるという点では参考にになる一書。

 

『モレスキン「伝説のノート」活用術』


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