中公文庫一覧

戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎(1991)『失敗の本質—日本軍の組織論的研究』中公文庫

われわれにとっての日本軍の失敗の本質とは、組織としての日本軍が、環境の変化に合わせて自らのせんりゃくや組織を主体的に変革することができなかったということにほかならない。戦略的合理性以上に、組織内の融和と調和を重視し、その維持に多大のエネルギーと時間を投入せざるを得なかった。このため、組織としての自己革新能力を持つことができなかったのである。(文庫版あとがき p.409-410)

成功体験(日本軍の場合は、日露戦争の結果。)に固執して、変化することができなくなってダメになった。強烈な成功体験を与えてその手法を固定化させる、という組織崩壊手順があったりして。

 日本軍は結果よりもプロセスを評価した。個々の戦闘においても、戦闘結果よりはリーダーの意図とか、やる気が評価された。(p.335)

結果よりもプロセスを評価した。個々の業務においても、業績よりはいかに夜遅くまで又は休日返上で取り組んだかが評価された。というのは冗談。


司馬遼太郎『空海の風景』中公文庫


再読了。時機を読み、時機を逃さず、時機を得、時機を活かした天才、空海。そんな印象。何度読んでも面白い。


深沢七郎(1982)『みちのくの人形たち』中公文庫

「楢山節考」で知られる深沢七郎、後期の代表作。

間引きの風習を題材とした「みちのくの人形たち」は、何とも後味の悪い印象。後味が悪い分、いつまでも生温かい情景が頭に残る、そんな作品です。

フロイスの『ヨーロッパ文化と日本文化』の間引きの記述と関連して、より一層生々しく感じられました。

目次

  • みちのくの人形たち
  • 秘戯
  • アラビア狂想曲
  • をんな曼陀羅
  • 『破れ草紙』に拠るレポート
  • 和人のユーカラ
  • いろひめの水
  • 解説 荒川洋治