岩波文庫一覧

ルイス・フロイス著(1991)『ヨーロッパ文化と日本文化』岩波文庫

原題は、『日欧文化比較』。イエズス会の宣教師ルイス・フロイスが、天正13(1585)年に加津佐でまとめたもの。安土・桃山時代の日本の生活や文化を知るための貴重な史料となっています。

特に印象的だった点をいくつか。

ヨーロッパでは嬰児が生まれてから殺されるということは滅多に、というよりほとんど全くない。日本の女性は、育てていくことができないと思うと、みんな喉の上に足をのせて殺してしまう。(p.51)

衝撃。命の重さすら絶対的ではなく相対的なものなのか。堕胎についても「日本ではきわめて普通」との記載あり。

われわれの子供は大抵公開の演劇や演技の中でははにかむ。日本の子供は恥ずかしがらず、のびのびしていて、愛嬌がある。そして演ずるところは実に堂々としている。(p.66)

今だと逆の評価では? 日本人の子供は恥ずかしがり屋でもじもじ、一方、欧米の子供は実に堂々と自己主張する、といった風に。(注に、「武士の子弟の演ずる舞や能などを指すものと思われる」とあり。)

われわれの間では酒を飲んで前後不覚に陥ることは大きな恥辱であり、不名誉である。日本ではそれを誇りとして語り、「殿 Tono はいかがなされた。」と尋ねると、「酔払ったのだ。」と答える。(p.101)

その他、当時、ヨーロッパの風習と比較してフロイスが異様に感じた日本の文化ですが、今の日本と比べてみて異様に感じることや、昔から変わらないこと等に気付かされます。

目次

  • 解題
  • 第1章 男性の風貌と衣服に関すること
  • 第2章 女性とその風貌、風習について
  • 第3章 児童およびその風俗について
  • 第4章 坊主ならびにその風習に関すること
  • 第5章 寺院、聖像およびその宗教の信仰に関すること
  • 第6章 日本人の食事と飲酒の仕方
  • 第7章 日本人の攻撃用および防禦武器について―付戦争
  • 第8章 馬に関すること
  • 第9章 病気、医者および薬について
  • 第10章 日本人の書法、その書物、紙、インクおよび手紙について
  • 第11章 家屋、建築、庭園および果実について
  • 第12章 船とその慣習、道具について
  • 第13章 日本の劇、喜劇、舞踊、歌および楽器について
  • 第14章 前記の章でよくまとめられなかった異風で、特殊な事どもについて
  • あとがき
  • 岩波文庫あとがき(高瀬弘一郎)

宮本常一(1984)『忘れられた日本人』岩波文庫(青164-1)

著者が各地の農山漁村の老人から聴き取りしたそれぞれの地域の生活や文化の記録。
地域に暮らした普通の老人の話なのでとても生々しくダイナミックな歴史・文化に感じました。

特に男女関係の記載についてはあまりにも現在の感覚と違っていてとても興味深かったです。
司馬遼太郎の小説にも同じような場面が出てきていたのを思い出しましたが、こういう風習というか文化はおそらく本書に登場した地域に限定されるものではなくて、広い地域で行われていたのではないかと思います。

目次

  • 凡例
  • 対馬にて
  • 村の寄りあい
  • 名倉談義
  • 子供をさがす
  • 女の世間
  • 土佐源氏
  • 土佐寺川夜話
  • 梶田富五郎翁
  • 私の祖父
  • 世間師(一)
  • 世間師(二)
  • 文字をもつ伝承者(一)
  • 文字をもつ伝承者(二)
  • あとがき
  • 注(田村善次郎)
  • 解説(網野善彦)

スポンサーリンク