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『武士の家計簿—「加賀藩御算用者」の幕末維新』

『武士の家計簿—「加賀藩御算用者」の幕末維新』

百万石と言われた加賀(金沢)藩の算盤係として会計処理を代々担ってきた猪山家が残した家計簿は、下級武士の日々の生活の実態を詳細に、かつ、生々しく伝えている。

武士と農民や商人との関係、親戚付き合いと金の貸し借り、嫁と嫁の実家との関係等々、著者によって繙かれた家計簿を通じて様々な姿が明らかにされており、私が漠然と想像していた武士像とはあまりにも差があり印象的だった。

 

『武士の家計簿—「加賀藩御算用者」の幕末維新』 磯田道史著 新潮新書 2003年

目次

  • はしがき 「金沢藩士猪山家文書」の発見
  • 第1章 加賀百万石の算盤係
  • 第2章 猪山家の経済状態
  • 第3章 武士の子ども時代
  • 第4章 葬儀、結婚、そして幕末の動乱へ
  • 第5章 文明開化のなかの「士族」
  • 第6章 猪山家の経済的選択
  • あとがき
  • 参考文献リスト

 


『新版 日本中世に何が起きたか—都市と宗教と「資本主義」—』網野善彦著

人間と自然との境界、境界に生きる人々、現在にもつながる経済の仕組みを形づくるうえで重要な役割を担っていたのがこうした境界の人々だった。差別や悪、宗教と経済、私の世代には漠然と常識化されてきた知識を完全に覆した日本中世史学の巨人、網野善彦氏の考えがコンパクトにまとめられた一冊である。


『新版 日本中世に何が起きたか—都市と宗教と「資本主義」—』網野善彦著 洋泉社(歴史新書y) 2012年

目次
序にかえて
 絵師の心 一遍と「乞食非人」
1 境界
 境界に生きる人びと 聖別から賤視へ
 中世の商業と金融 「資本主義」の源流
 ■補論 市の思想 [対談者・廣末保氏]
2 聖と賤
 中世における聖と賤の関係について
 中世における悪の意味について
3 音と声
 中世の音の世界 鐘・太鼓・音声
4 宗教者
 一遍聖絵 過渡期の様相
あとがきにかえて
 宗教と経済活動の関係


『もういちど読む山川日本史』

高校教科書をベースとして一般読者向けに書き直されたもので、冒頭の編者メッセージにあるように「1冊で日本史の全体像を把握できる書物」となっている。ただし、教科書をベースにしたものであることから、文章は非常にドライ。興味を引かれるのは、高校時代に学習したことと、最近の研究動向を踏まえた今の記載内容とが異なっている部分。古墳の名称や、人物像等々、実はそうだったのか、と新たに知ることが少なくなかった。

教科書的な文章で、途中読むのが辛いと思うかも知れないが、通読したあとの達成感と、日本史全体を1冊で俯瞰できたという大きな満足感が得られる1冊である。

『もういちど読む山川日本史』
編者:五味文彦、鳥海靖
出版:山川出版社
出版年:2009年


『あなたの知らない北海道の歴史』山本博文監修 洋泉社 2012年

本書では北海道の歴史を、古代、鎌倉・室町、戦国、江戸、近代の6つの時代に区分したうえで、各時代の主要なトピックをQ&A形式で紹介する内容となっている。目次をもとに、気になるトピックだけを拾い読みするも良し、順に読んでいくのも良し、いずれにしても、非常に読みやすく仕上げられており、北海道の歴史の概要を、コンパクトに、かつ、短時間で俯瞰するには便利な一冊である。

これは「北海道の歴史」をテーマにしたコンパクトな書籍という点ではやむを得ないのだろうが、本書で主に取り上げられている地域が道南(渡島、檜山地方)に偏っている。北海道の歴史の概要を掴むには、やや道央、道東における歴史の記載が薄い印象を受けた。

ただし、道南に関心の強い私には大変満足な内容である…。

 

『あなたの知らない北海道の歴史』
監修:山本博文
執筆者:春日和夫、岸祐二、中丸満、吉田渉吾、渡邊大門
出版:洋泉社
出版年:2012年

 

 


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